和歌山遠征

いつか必ず訪れてみたいと思っていた場所 ”和歌山県”
有田みかん、熊野古道、和歌山ラーメン、智弁和歌山高校(ジョックロック)・・・そしてカットソーの聖地。
足を運んだ方からは、いろんな文化があって面白い場所ですよと話は聞いていたものの、では、行こう!!と
背中をぐっと押すようなきっかけが訪れずにいましたが、最大のチャンスがようやく巡ってきました。
久しぶりに足を運んだ東京での合同展示会から、トントン拍子で話が進んだのは9月の末頃のこと。
小田原駅から発車する朝一番の新幹線「ひかり号」に飛び乗り、先ずは新大阪駅を目指します。
今までは新幹線と言えば東北新幹線を利用していたので、東海道山陽新幹線がなんだかとても新鮮な気持ち。
過ぎていく景色、車内で流れてくる音楽、乗り込む人々・・・東北新幹線はのどかな風景(田んぼ川や山)が中心ですが
東海道新幹線は太平洋ベルトと呼ばれる工業地帯、いわば日本の心臓部とも呼べる場所を颯爽と西へ駆け抜けていきます。
東京⇔盛岡間と、ほぼ変わらないぐらいの2時間弱で新大阪へ到着。

新大阪からは、特急「くろしお」287系に乗り換えて、目的地である「JR 和歌山駅」を目指します。
全席指定で、287系は振り子式ではないため、目的地までの到着が5分くらい遅くなるそうです。
この車両以外にも”パンダくろしお”や”オーシャンアロー”など地域色濃い車両があります。
くろしお、ネーミングも良いし、配色もGOOD。初めて乗る特急電車は自然と胸が高鳴ります。
電車は出発すると大阪のビル群を抜け、やがて下町の情景に変わり、オリックスの本拠地京セラドームを通り過ぎていきます。
和歌山駅到着までの所要時間は1時間5分。思っていたよりも近いのです。
景色が途中から一気にみどりに入れ替わり、そして山間部を抜けていくと、その先に小さな街が見えてきました。
いよいよ和歌山県、初上陸です。

無事に到着しました「JR 和歌山駅」
思っていたよりも!・・・こじんまりとした駅の印象。
和歌山県総人口89万5千人。和歌山市人口35万4千人。僕が勝手に思っている街の規模としては理想的な人口。
因みに現在拠点を置く神奈川県。人口922万2千人。二宮町の人口2万6千人。
和歌山市の規模感や経済、歴史的背景を考えると、城下町ならではの街並み・老舗個人店がある程度の数あるだろうと推測。
駅を降りると、暖かいを通り過ぎて暑い。。。湿度が立ち込めるもぁっとした空気が身体を包み込みました。
ここで今回の旅をアテンドしてくださる、ohh!の大西さんとも合流。
ご紹介していただく工場のスタッフの方が和歌山駅まで迎えに来てくださり、今回の目的であるカットソー工場の現場へと向かいます。

中に入ると、もちろん想像はしていたものの想像以上の生地の反物と機械が所せましと置いてあり、
その量に圧倒されながら、奥の打ち合わせをする部屋へ通されます。
事前に大西さんからは何も通達されておらず、行けば分かります。という言葉の意味をここで理解。
訪れなければ、分からない理解出来ないことばかり。最初はメールでやりとりすればある程度、イメージも出来て
やり取りが出来るのかなと思っていたのですが、大間違いでした。
打ち合わせというか、ざざざーっと工場のこと、糸、素材、生地、機械などなどの話を伺いながら
持参したサンプルを見せて何を作りたいかの問いに、再び糸、素材、生地の選択肢。開始1時間くらいで頭の中はもうパンパン。
その道のプロの話は、当然ですが知識と経験値が圧倒的に違いますし、瞬時に理解できない事も多々ありました。
自分の最初のこんな感じのもの・・・というイメージが、どんどんブレていくというか、転回していって何が何だか分からなくなって
それでいて、時間の経過とともに、ぼんやりとしていたモノとコトが、徐々にクリアになっていく感覚。
ちょっと分かっていたつもりが見事に打ち砕かれましたが、それも嬉しく感じるくらいにやっぱり物作りって凄いなと思う時間でした。
なんとか必死に食らいついていき、午前中の部は終了。
お昼ごはんを食べに行きましょう!!という話になり、当初はうどんの予定でしたが、急遽和歌山名物のラーメンに変更。
しかも、この旅の前に秋田からご来店いただいたお客様(以前、和歌山へ行かれた)から聞いていたお店へ行けることに。
(歩いていくにはちょっと距離があるなぁと思っていたところ)
ラッキーが重なります。

連れて行っていただいたお店は和歌山ラーメンのお店「丸三さん」
秋田のお客様から聞くまでは和歌山ラーメンは正直ノーマークでした。和歌山ラーメンには大きな特徴があります。
それはラーメンとは別に、はや寿司と呼ばれるお寿司・海苔巻き・お稲荷さん・ゆで卵がテーブルにのっています。
ラーメンを注文し届くまでの時間に食べる。もしくはラーメンと一緒にお寿司を頬張るとのこと。
ほぉ~。今までの概念には全くないスタイル。半信半疑な気持ちを持ちながら食べるとこれが実に良かった。
しめ鯖ののったお寿司はゆず風味でさっぱり、巻きずしは王道の甘じょっぱい系。
ラーメンは豚骨ベースで味は少し濃い目に感じましたが、全然嫌な感じがしない。
僕ははや寿司(しめ鯖)のお寿司をラーメン前に、巻きずしをラーメンと一緒に頂きました。お会計は食べたものを自己申告制。
丸三に来る方はほぼが地元の方、この空気ですよ。痺れます。全てが完璧でした。
平日だったのでスムーズに入れましたが、土日などはお店前の道路に渋滞が起きてしまうほどの人気店だと後からお聞きしました。
エネルギーチャージも完了、ドライブしつつ次の目的地へ向かいます。社長、美味しいラーメンご馳走様でした!!

海沿いのリゾート地をドライブしつつ、途中に見えてきた立派な建物を指さし、あれが智弁和歌山高校だよと。
和歌山の高校野球界を常にリードし続ける常勝軍団。ここだったのかと興奮しつつ、目的が変わってしまいそうだったので通過します(笑)
つぎに向かった場所は、実際にニット生地を作っている現場を視察。
今までは雑誌やインターネットで見た画像や聞いた話などを参考に、自分の想像の中の世界でしかなかったものが
実際に本物の機械で動いているのを見ると、構造や仕組みがより解像度を上げて理解出来、日本の製造業の根幹を肌で感じることが出来ました。
お話を聞いていて気が遠くなるような作業や古い機械の調整のことを、現場はこんなものですよと。
さらりと言われて、またまた数時間前まで分かっている気になっていた自分と、生で現場を見て感じる世界。
店頭に製品が当たり前の様に並び、一部だけを切り取り説明するのとは、全くもって違う感覚を得たような気がします。
色々が乖離して感情が追いつかなかったというのが正直な感想です。
二宮へ戻って冷静になり振り返ると、先ず知ることが出来たというのが第一歩だと思えるようになりました。
あまりにも奥が深すぎて、今後どこまで自分が出来るか分かりませんが、定期的に足を運ぶことだったり
一緒にものづくりをして何かかたちに出来れば、自分の想像するものがより鮮明になっていくでしょうし
和歌山のことをもっと好きになるような気がしました。

最初の工場に戻り今後のことなどを話し合いをして、今日の打ち合わせは終了。
情報が想像を超えて次から次へと千本ノックのように飛んできましたが、たくさんお話してくださった工場の社長さんや
一緒に動いてくださった大西さんの優しいサポートがあったお陰で有意義な時間になりました。
ここからは事前に下調べしておいた、各名所巡りへと向かいます。
ご厚意に甘えて、どうしても行きたいと思った「花山温泉」まで車で送り届けて頂きました。
出張や旅行に行くと、先ず調べるのは温泉もしくは銭湯。
街中に温泉があるというのは稀でしかも厳選かけ流し。さらに関西一の炭酸泉。お湯が茶褐色。言うことありません。
気を付けるべきは、調子に乗って長く入り過ぎること。強めの温泉は湯あたりする可能性があるので、心して温泉と対峙します。
前回行った鹿児島の温泉よりもさらに鉄の匂いがしました。成分がお風呂の釜一面にびっしり。
これを削るために週一回のお休みを設けているそうで、どんどん積もっていってしまうとのこと。
今回はどっぷり行くと動けなくなりそうで控えめにしましたが、また機会があれば訪れたいと思う温泉でした。

花山温泉を後にして和歌山駅へと戻ります。が、タクシーを呼んでも出はらっていますと、1台も掴まらず。。。
バスはあてになりませんよと言われていましたが、少し歩けばバス停が近くにあるのが分かったので向かいます。
確かにあてにしてはいけない本数ですね、ギリギリセーフでした。。。
和歌山県も1人1台、車を持たないと動けない町というのを聞いていたことをここで納得。
運よく、バスの時間が近かったこともあり無事にJR和歌山駅へ戻ることが出来ました。

今日、自分たちが宿泊する場所は「JR和歌山駅」ではなく、「和歌山市駅」という場所。
ここからJRに乗り換えて2つ目の駅。南海電車とJR線の2つの電車が行き来する駅へ移動します。
わたくし、少し鉄分が多めなので、可愛い電車を見ると興奮してしまうのです。。。(笑)

今日の目的はまだあります。
気になっている本屋さんがあることを事前情報でゲットしていたので、和歌山市内を歩きます。
お風呂に入ってリフレッシュしているものの、頭の中はまだ興奮状態。
その状態で本を選べるのか。。。不安もありつつ目的の場所を目指します。

絶対に良い本屋さんだろうなと思っていたのですが、中に入るとそこはもう驚異的なお店でした。
お店の名前は「本町文化堂」さん。
アーケードのちょっと奥まった場所にあって、吸い込まれるように入店。
入った瞬間から圧倒される本の量とジャンルの広さと奥行き。一瞬でノックアウトされました。
二人で夢中になって店内にある本を物色。午前中の頭の疲れが抜けきれず、判断能力が落ちている。。。
最後の力を振り絞って気になる本を一人2冊ずつ、合計4冊の本を選び購入。
お会計の際にお店の方ともお話出来て、和歌山でのモノづくりが完成したらぜひイベントしてください~(!)
というありがたいお話まで頂けて感無量。地元の方ならではの美味しいご飯屋さんもレクチャーしてくださり
街に欠かせない文化を生む素晴らしいお店に出逢えたことの幸せを感じつつ、またきっと必ず再会できると確信しました。
人と人との出会いや、お店のスタンスには通ずるものがきっとあって、ここはきっと人も本もその他の色々なものも
自然と集まってくる場所なんだろうなと感じました。久しぶりに心が震えるような感覚の場所と人でした。

本日のラストを飾るべく、夕食に選んだお店が「酒の道場」さん。先ず名前が優勝です。
ガラガラと扉を開けると、カウンターに常連さんらしき方が4名並び、先ず全視線が集まります。
何処に座ろうか・・・と一瞬迷っていると、すぐさま4人の視線が隣に座りなさいと(笑)
その圧力に負けてなのか、他にも席は空いていたのにも関わらず、促されるまま席につきました。
メニューはおでん、お刺身、魚も焼きから煮つけ、一品料理まですべてがイメージ通り。そしてビールは赤星の瓶。
旅先の生ものは控えているのですが、あまりにもお刺身が美味しそうで思わず注文。おでんあれこれ注文。
何を食べても美味しいしか言葉が出てきません。その間、完全に出来上がっている常連さんとの会話も挟みつつ
とにかく夢中でごはんとお酒をいただきました。1時間くらいで食べ終えてお会計を済ませて席を立とうとしたときに
常連さんから一杯おごってあげるからもう少し居なさいと。
僕はお酒を殆ど飲まないので、妻が和歌山の地酒3種類飲み比べセットをごちそうになることに。プラスで酢の物を追加。
和歌山県には来客の方を良く遠くから来てくださいましたの精神が根付いるように思いました。
どこに行くにも、受けいれてくださる側がとても親切で優しい。そして関西弁が心に染みわたる。
飲み比べセットをごちそうになり、今日はこれにて終了。あと一日あるのでホテルに帰って就寝。
次回へ続く。。。

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